借地権付き住宅の建替えはできる?

長年住んでいると住居は老朽化してきます。自分が所有している土地の建物なら「じゃあ建替えよう」となるのですが、借地権つきの住宅の場合は、少し首をひねってしまいます。果たして、借地に立っている建物を建替えてもいいものなのでしょうか。

ここでは、そんな疑問を解決するために借地権付きの住宅を建替えについて解説します。

建て替えはできます

まず大前提として、借地権付きの住宅でも建替えはできます。建物が老朽化してきて建替えたいと考えている方も心配の必要はありません。ただし、借地権付き住宅の建替えには条件があって地主の許可を得る必要があります。

借地は地主から借りている土地なので、建替え以外にも権利の売買や転用など何かする場合には契約の更新や改定、承諾が必要になります。このため、建替えをするときは地主に相談して承諾を得てからにしましょう。

無許可で建て替えをしてしまうと、地主とのトラブルにもなりかねません。借地権契約を解約される事態を防ぐためにも、必ず地主と話し合いをしてからことに臨みましょう。

建て替えをするときは承諾料を支払う

地主に建替えの許可を得るときには承諾料を支払うのが一般的です。相場は更地価格の2%から5%ほどになっています。法的に金額が決められているわけではありませんが、通例としてこの程度を支払うことになっています。

しかし、この承諾料の相場は現在の住宅と同じ程度の耐久性がある建物に建替える場合です。木造建築から木造建築に建替えるといったケースです。木造建築から鉄筋コンクリート造りに建替える場合は、承諾料は高くなります。

このような建物の構造に変更がある場合は、更地価格の10%ほどの承諾料です。なぜ承諾料が高くなってしまうかというと、耐久性のある建物に建替えると、地主はその土地を使用できない期間が長くなると想定できます。

借地人の得る利益ばかりが増えることになるため、その期間分承諾料を多く支払うようになっています。

建替えの了承を得るために

しかし、建替えたいと思っても建替えできない場合もあります。これはどのようなケースかというと、地主が許可をくれない場合です。正当な事由がないと地主は建替えを断れないと法的に定められているのですが、なかには了承してくれないこともあります。

また、地主に払う承諾料でトラブルになるケースもよく見られます。このため、繰り返しになりますが建て替えをしたいと思ったら、まず地主に相談するようにしましょう。

事前に「建替えをしたいと考えているのですが、地主さんの意見を聞かせてください」と相談しておくと、いきなり「建替えをします」と宣言するよりもその後スムーズに物事が進むはずです。先に建替えについての意見を聞いておくと、地主の考えもわかります。

このときに建替える建物はこのようにしてほしいなど本音も聞けるでしょう。

つまり、地主との関係を良好にすることが、建替えをスムーズに行う秘訣だと言えます。そして、承諾が得られたのちに建築計画と資金計画を立て、地主と住宅の建替えについて最終的な話し合いに臨みます。話し合いで承諾料や建替え後の地代ことなどを決定します。

このときは、交渉が不調に終わることのないよう専門家に前もって相談しておくといいでしょう。借地権付き住宅の建替えは、借地権について詳しい弁護士事務所や不動産会社に相談できます。

建替えの了承が得られない場合の対処法は?

地主に建替えの了承を得られないからと言ってあきらめる必要はありません。この場合、裁判所に申し立てることができます。裁判所に借地非訴の申し立てをして、裁判所に建替えの許可をもらいます。借地非訴は借地人と地主がトラブルになっているときに、借地に関する条件変更や譲渡、売買について裁判所から承諾を借地人にあたえる手続きのことです。

このように、地主とトラブルになったときは、最終手段として借地非訴の申し立てもできます。しかし、借地非訴の申し立てをし、裁判所から承諾を得るまでには数か月かかってしまいます。また、申し立て後は地主との関係は悪くなるでしょう。

その後も借地に住み続けていこうと考えるなら、借地非訴はあまりおすすめできません。

定期借地権付きの住宅についてはどうなの?

ここまでの話は普通借地権と旧法の借地権のケースです。定期借地権になると少し事情が違います。定期借地権は一定期間土地を借りて建物を建てて居住し、契約期間満了後は土地を更地にして地主へ返すことになっています。

例えば定期借地権の期間満了3年前に住宅の建替えをしたとしても、これでは3年間しか建物に住んで生活できません。ちなみに、定期借地権契約では建物を建替えたとしても契約は更新されません。このように、新しく家を建てても借地人の不利になってしまうため、定期借地権では建替えはできないことになっています。

地主に承諾を得ていても建替えできないこともある

借地権付き住宅の建替えをしようと地主に承諾ももらっているのに、なかには建替え不可能な建物もあります。これは再建築不可物件に該当する建物で、都市計画区域、準都市計画区域にある建物は解体して更地にすると新たに家を建てられません。

これは、建築基準法の規定には幅4メートル以上ある道路に敷地が2メートル以上接していないといけないという接道義務があるためです。災害時に救急車や消防車などが緊急時に通行できるようにと定められています。この条件を満たしていない場合、借地権付きの住宅を建替えたいと思っても実現できません。

しかし例外もあり、近くに広い空き地が存在し、安全や防火、交通などに支障がない場合は工事の許可が下りるときもあります。

ローンを組めない

借地の建物を建替えるなら、ローンを組もうと考えている方もいるかもしれません。ところが、金融機関からの融資にも地主の許可が要ります。金融機関は融資をするときに土地や建物に抵当権を設定します。その際、土地は地主の所有物なので地主の融資承諾書が必要です。

しかし、借地人がローンを組もうとしても地主が融資承諾書を拒否するケースが多く見られます。これは、融資承諾書には借地人がローン返済不可能になった場合、土地を競売にかけるという条項があるからです。このため建替えの承諾ももちろんですが、融資の承諾も非常に重要です。

建替えをするときは融資の承諾が取れないこともあると考えて、資金を準備しておかなくてはいけません。